【book】夢の封印/坂東真砂子

夢の封印

夢の封印

久しぶりの坂東真砂子。ちょっとエロ的な要素持ってそうだなぁと期待して借りてみる。官能的なエロさ、大好きです(笑)。
短編が7つ入っていて、どれも官能的。どの主人公も今の生活になんらかの不満を抱いており、心に更なる欲望を秘めている。性的なものが多いのですが、性欲ばかりではなく、夫への嫉妬やしがらみ、幸せの追求などなど様々。読み終わって嫌な気分にならないのが嬉しいところ。「まあそんなもんだよね実際は・・・」と思うところもあるけれど、灯台下暗し。実は幸せや欲望の先はすぐそこにあったりするものです。そんなことを言われている気がします。
個人的には最後の話が心に残っています。結婚して2年経ったある夫婦の話です。
両者ともに連れ子がいて再婚、仲良く暮らしていたけれど、ある日突然夫の元妻が現れる。寄りを戻したいと詰め寄る元妻に、驚く夫婦。15年寄り添った元妻に比べ、2年しか暮らしていない自分との絆は弱いものだと感じるが、夫は「男女関係って、果物みたいに成熟していくものだ」と告げる。そう、私達も成熟していけばいい、妻はそう感じていく。
いやあ、そういう関係っていうのはホント理想です。成熟していって、お爺ちゃんとお婆ちゃんになっても手をつないで散歩できたら最高だと思います。
また別の話ですが、女性って自分の体にある程度自信を持ってるじゃないですか。私はそう。自信がなくても自信がつけられるよう努力する。そして恋人はそれを美しい、可愛いと褒めてくれる。でも今はいいけど、じゃあ10年後は?20年後は???70歳のお婆ちゃんに同じことが言えるのか疑問。明らかにハリも滑らかさもなく、自分自身でも美しいとは言いがたい。そんな自分を捨てて若い女性の元へと行ってしまうのではないかと不安に思う。同じように相手もお爺ちゃんなのだから、自分も若い男性の元へ行ければよいかもしれないが、自分の体に不安を持っているため行ける訳もなく。不安なんですよね。だから常に美しくありたいと思う。いくつになっても化粧をし、努力を怠らない。これだけの理由ではないだろうけど、ちょっとは関わってると思うんですよね。そんな女性の描写がちょっと描かれていて、頷きながら読んでいた自分がいます。
表面的な美しさだけに固執したくはないけれど、やはり歳を取っても美しくありたいものです。