外はいい天気だよ/谷川史子

片思い作品集というからどんだけ悲しい話が盛りだくさんなんだろうと思いきや、片思いにみえて実は両思いでしたーという話ばかり。最後の「雪物語」だけが失恋に終わってしまいますが、それでも新しい恋の予感がすぐそこに待っているようでした。どんだけ悲しい話なんだろうと思っていたので、その期待は裏切られましたが、やっぱり最後にハッピーエンドにつながっているのをみるとホッとしますね。
当たり前ですが、自分が好きな人と両思いということはつまり、それぞれに誰かが思いを馳せていたらそれは自然と片思いになってしまうわけで・・・。だからなおさら両思いってすごいことなんだなと実感いたしました。好きな人がいるってことは素敵なことで、相手も自分を好きと言ってくれたらなお素敵。当たり前だけど、すごいことですよね。
《収録作品&story》
「外はいい天気だよ」
三話からなる物語。文芸同好会に所属するかのこと幼なじみの森之介、かのこと共に同好会に所属するまさこと一足先に大学生になった朔巳先輩、朔巳のイトコの誉と付き合う水月。この3組がそれぞれに抱える問題とそれを乗り越えていく様子が描かれている。恋って付き合う前も後も大変なのよね・・・w
「雪の降る頃」
中学の頃に好きな人を傷つけてしまった万智。クリスマスに叔父が経営する喫茶店を手伝うことになったのだが、なんと偶然にも再会を果たす。同じくクリスマスの期間だけ働くという。また同じように仲良くなれるのか心配な万智だったが・・・。
「北風とポスト」
超お人好しな香椎くん。ひょんなことから間違ってポストに入れてしまった手紙の回収するを手伝わされる羽目に。間違って投函してしまった寿とともに手紙を探す旅(?)に出るのだが・・・。
「雪物語」
お兄ちゃんの雪(セツ)が大好きな小雪。ブラコンだと幼なじみの銀にからかわれる始末。ある日受験用の参考書を一緒に選んでくれると約束したのに、たった一本の電話でフイにされてしまう。付き合ってる人がいないと言う雪を怪しんで尾行すると、彼には大事な人がいたのだった・・・。