【book】野ばら/長野まゆみ

野ばら (河出文庫―BUNGEI Collection)

野ばら (河出文庫―BUNGEI Collection)

画像がないので他からひっぱってきました。こんな表紙です。

非常に幻想的な世界観を持つ物語です。長野まゆみの『少年アリス』のように、現実なのか夢なのかわからない不思議な世界に迷い込む主人公の少年なのですが、結局最終的にどれが夢で現実なのかはっきりしないまま終わるのは少年アリスと違うところですかね。え?結局どういうこと?どういう意味?などとあまり理論的に考えると面白くない話のように思われます。幻想世界は幻想世界のまま、不思議な感覚のまま流されてしまえばよいのではないでしょうか。それが一番面白い。
主人公の少年・月彦は、気付くと学校の講堂に一人イスの上で目が覚める。あたりには誰もいない。目の前には幕の閉じたステージ。だが、これから始まるのか終わるのかは月彦にはわからない。ふと後ろの出入り口の暗幕からガヤガヤと少年たちが集まってくる。彼らは月彦のことを知っているが、月彦は誰なのか検討もつかない。やがて舞台は始まり幕が開くのだが、気がつくと月彦は自分のベッドにいる。そしてそれが夢だったのがわかる。しかしそれも夢でそしてそれも夢でそのまたそれも…。
長野まゆみの独特な少年たちのエロさ(ときどき直接的にも隠喩でも描かれていることがあるのです)はなかったのでそこらへんは安心して(?w)読めるかも。