【book】涅槃の王/夢枕獏

涅槃の王〈巻ノ結〉神獣変化・覚者降臨編

涅槃の王〈巻ノ結〉神獣変化・覚者降臨編

いやぁ、長かった…。序である幻獣変化が1981年刊行で、最後の巻の結を刊行したのが1996年。さすが15年の月日を経ただけあります。序から始まり、1巻、2巻…5巻、そして結。いやぁ、計7冊ですよ。面白かったけど、さすがに疲れました。
出家をし沙門となって真理を追い求める修行僧となった若き日の仏陀が、不老不死をもたらすといわれる「涅槃の果実」や「霊水」に興味を覚え冒険をし、最後に悟りを開き覚者となるというのが大筋の流れ。シッダールタ(若き日の仏陀)だけではなく、不老不死を追い求め共に冒険をする仲間たちの話も詳しく描かれていて、シッダールタだけが主人公というよりは皆が一様に主人公という感じ。
序はそれ一冊で話が終わっていて、不老不死をもたらすと言われている「涅槃の果実」の噂を聞き、それを求めて旅をする話になっている。もちろん覚者とはまだならない。2巻目から結の最後までが「霊水」をめぐっての、それこそ大冒険なる話。千年を生き、そして今も生き続けているというザラ王が統一する国、ザラ国。そのザラ王が口にしたといわれているのが「霊水」である。果たして本当に「霊水」は存在し、不老不死は存在するのか。人間を含め全ての物、この世に存在する全てのモノに共通する真理を追い求めるシッダールタが最後にたどり着く答えとは。
これはもう、あらすじだけを読んでも面白くない。結果だけを聞いても面白くない。大変でも最初から最後まで読んだ人だけが味わえる感動というものが確実にございます。かろうじて序だけは読まなくても大丈夫。けれど序は序なりに面白いし、一冊で終わる点が手軽ですね。だからとりあえず序だけ読んでみて、これは面白そうだ!いけそうだ!と思ったら1巻から読むべし。長いように見えるが案外読みやすいのと、独特の世界観にすぐに惹きこまれてしまうと思うので、あっという間に読めてしまうと思います。っていってもやっぱりこの冊数を読むのは大変なんですけどねw